INTERVIEW
限りなく日常に近い場所なのに非日常が感じられる別棟。
ここで過ごす時間は、私たちにとってかけがえのないものになりました。
福田邸(別棟)
長崎県北部にある北松浦半島の中南西部に位置する佐々町。この町に2003年、一軒の歯科医院が誕生しました。「ふくだ歯科医院」の院長は、佐々町で生まれ育った福田英喜さん。「両親が暮らす町ですから、いずれはこの場所で開業しようという思いはありました」とやさしく微笑みます。医院があるのは国道204号線沿いで、道路も広く、見通しの良い土地です。敷地内には医院と建物を同じくした福田さんの住まいがあります。
「夫婦ともに趣味があり、そのためのスペースが住まいにはありませんでした。そこで、別棟を建てたら良いのではないかという話になったんですよ。すでに母屋がありますから、そこに併設するような離れがあったら良いな、と」と当時を振り返ります。
福田さんには大きく二つの趣味があります。その一つが木工です。熊本県・小国町の木工体験工房で初めて木工の魅力に触れ、すぐに夢中になりました。熊本へと定期的に通いつつ、自宅ではベランダを利用し、糸ノコギリを使って作品作りをしていました。
歯科と木工、いずれも集中力が必要そうですが、「全く別ものですよ」と福田さんは言います。「歯科は治療のための集中力ですが、木工は手先を動かし、ゼロからモノを生み出すクリエイティブな集中力。私の中ではそれぞれ全く異なるもので、木工は気分転換になります。発想して図面に起こし、切り出し、そして色を塗る。このように工程があり、それぞれに面白さがあるんですよ」。
木工の魅力を語りだすと止まらない福田さん。もう一つの趣味が、まさにその木工を始めるきっかけにもなったドライブです。「自宅からちょうど良い距離感ということもあって、よく熊本や福岡へふらりと繰り出していました。熊本県・小国の木工体験との出会いも、ドライブで出掛けた先だったんです」と教えてくれました。そんな福田さんのパートナーとも言える愛車の収納もどうにかしたいと考えていたそうで、新しい別棟には、木工のための部屋、そして愛車のための空間を作りたいと思案していました。