INTERVIEW

いかにも洋服屋らしい洋­服屋にはした­くない。
アパレルショップに居心地の良さを求めた。

toalu

潮風を感じる海辺に「toalu」はありました。佐世保港にほど近いベイエリアに広がる万津町。この界隈は近年、“万津6区”という名称で親しまれ、地元でも注目を集めています。店主の兼松さんは地元・佐世保でアパレル業に従事し、その後、独立。2015年4月、万津町にこの店を開業しました。「元々、いつかアパレルショップを出したいと思い、勉強していました。いざ、自分が店を出すなら万津町が良いなと考えていました。ただ、ここですることになるとは思ってもいませんでしたね」と切り出します。

toalu

「toalu」が店を構えるのは、雑居ビルの2Fです。かつて贈答品の倉庫兼事務所として使われていた3フロアのうち2つを借りて1フロアにしています。「路面店、そして立ち寄りやすい1Fで考えていたんです。ただ、なかなかここだという場所がなく、そんな折にこの物件を紹介してもらいました。その時にピンときて、決めました」。
この場所にいると、汽笛が1日2、3回鳴るのだと兼松さんは教えてくれました。駅からも近い中心地なのに、ゆっくりとした空気が流れるロケーションです。「結果、良かったですね。この店を目的に来­てくださるお客様がほとんどです。うちのことを全く知らずに立ち寄る人はほとんどいないかもしれません」。でもそれで全然構わないんですと言う代わりに、兼松さんは優しい眼差しを窓の外に向けました。
 

「toalu」とは平仮名で書くと「とある」。その意味を辞書で調べると、「偶然目についたり行き当たったりした場所であることを示す。その辺の。ある。」と書いてありました。とある雑居ビル、とある海辺の町―――なんだか物語が始まりそうな、そんな匂いのする言葉。「響きも、その意味合いも気に入って、屋号にしました」と兼松さんは微笑みます。

メインで取り扱っているブランドは、YAECA(ヤエカ)、evam eva(エヴァム エヴァ)など8つのブランド。地元、全国、関係なく、その琴線に触れたものを丁寧に、そして柔軟にセレクトしているのが印象的です。
 

toalu

店に入ると、ちょっとした違和感を感じました。天井が高い? 兼松さんの身長が高いので一瞬、自覚しませんでしたが、よくよく店内を見渡すと、やはり空間が広く感じます。「そうなんです、洋服は立った状態で見­るものですから、目線が自然と高い位置にあります。であれば、天井は1cmでも上げたいと思って、賢太さんに相談したんです」。

賢太さんとは長崎県波佐見町にあるカフェ「monne legui mooks」を通じて知り合った間柄。兼松さんは「なかなか社会人になってから友人ってできないものじゃないですか。知り合いは増えても、腹を割って話せるような間柄にはなりにくいですよね。職場の同僚などではなく、そんな仕事を抜きにした関係が生まれるなんて思ってもいませんでした」と言います。
 

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