INTERVIEW

これまでも、
そしてこれからも、
自分らしくあるために。

堀池邸

堀池邸

何を選択し、
どう楽しむか

家は誰のために。それは家族のために。
では、家は何のために。その問いには十人いれば、十通りの答えがあると思います。

ある人は家族団欒のための場所と言うかもしれません。またある人はオンとオフを切り替える場所と返すかもしれません。趣味に没頭するためだと答える人もいるでしょう。もちろん、家を建てる理由がたった一つだけということはないはずです。ただ、それでも最も思い入れが強い動機があってこそ、その家主らしい住まいになるのだと思えるのです。堀池さんご家族にとって、家は何のために。

家を建てることは結婚のタイミングで決めていたという堀池さん。
家を建てるなら地元のハウスメーカーが良いなと思って。それで職場の先輩や友人に相談したところ、里山建築さんの名前が挙がってきたんです。

堀池さんご家族の家が完成したのは2022年5月のこと。それまでは波佐見町内にあるアパートにご夫婦二人で暮らしていました。
ただ、家を建てることは結婚のタイミングで決めていたという堀池さん。コツコツと情報収集を始めます。

「家を建てるなら地元のハウスメーカーが良いなと思って。それで職場の先輩や友人に相談したところ、里山建築さんの名前が挙がってきたんです。賢太さんのことは音楽のイベントの会場でよく会っていて、何となく趣味が近いことがわかっていたので、親近感がありました。先輩の一人も里山さんのところで家を建てていて、それがとてもカッコ良くって。一応、他のメーカーも調べてみたんですが、なかなかピンとこなかったので、連絡してみたんです」と、経緯を教えてくれた堀池さん。
奥様は「決め手になったのはオープンハウスですね。里山建築さんで働かれている東島さんが建てた家を実際に見せてもらって、夫婦そろって一目惚れして。それで正式にお願いすることにしたんです」と振り返ります。

堀池邸/里山建築

現在、家が建っているこの土地はご主人の家系で受け継がれてきたそうで、元々は田んぼでした。この土地にどんな家を建てるか。ご夫婦で検討を重ねていきます。

「一番悩んだのは、平屋にするか、2階建てにするかという点ですね。あとは僕たち夫婦の趣味をどのように家に取り込むか。里山さんにもアドバイスをいただきながら、我が家のベストに近づけていきました」と振り返る堀池さん。

夫婦揃って根っからの洋服好きなんです。

家づくりのテーマにもなる夫婦二人の共通した趣味。それが洋服です。何を着るか、どう着るか。それは何を選択し、どう楽しむかということ。洋服は、文字通りの衣服という意味ではありません。ちょっと大袈裟な表現になるかもしれませんが、つまり堀池さんご夫婦にとって洋服とは、自分らしくいられるための存在であり、生き方そのものなのです。

「夫婦揃って根っからの洋服好きなんです。もちろん手当たり次第に買っているわけではありませんが、それでも着々と増えていく一方で。以前の住まいでは収納場所が足らず、実家を頼って、季節のものをまとめて置かせてもらってはいるんですが、それでも限界があります。そういう理由もあり、可能な限り、洋服や靴の収納スペースを作ってほしいとお願いしました」という堀池さん。

これ以上、服が買えない。それは堀池さん夫婦にとって、人生が窮屈になってしまうことと同義です。潤沢な収納スペースを確保しつつ、生活における心地よい広さも保つ。平屋、二階建て、二つの選択肢から堀池さんご家族が導き出した答えは前者でした。

平屋、二階建て、二つの選択肢から堀池さんご家族が導き出した答えは前者でした。

シンプルと
無個性は違う

こうして完成した堀池家の平屋。ご夫婦の思いは、玄関のドアを開けた瞬間から伝わってきました。
広めにとられた土間のスペース、そしてそこからつながるウォークインシューズクロークは洋服好きのご夫婦らしい動線です。クロークそのものも空間にゆとりをもたせてあり、スニーカーから革靴までずらりと並ぶ様子に、まるでセレクトショップに来たかのような印象を受けます。

広めにとられた土間のスペース、そしてそこからつながるウォークインシューズクロークは洋服好きのご夫婦らしい動線です。
クロークそのものも空間にゆとりをもたせてあり、スニーカーから革靴までずらりと並ぶ様子に、まるでセレクトショップに来たかのような印象を受けます。

色とりどりの靴たちは、それぞれにデザイン性に富むもので、この見せるディスプレイはご夫婦の気持ちを日々、高めてくれているそう。もちろん使い勝手も抜群です。一目で自分たちの靴を俯瞰できるため、洋服に合わせたコーディネートは断然スムーズに。洋服好きのお二人にとって、土間にある姿見の前は、さながらファッションショーの舞台のようです。

「土間は元々、計画になかったんですよ。外にガレージを作る予定で、そのために予算を確保しようと思っていたんです。ただ、やっぱり洋服にまつわる要素を家の中に充実させたいと思い、ガレージの代わりに土間とウォークインシューズクロークを作ることにしました。結果的に本当に作ってよかったですね。空間そのもの以上に気持ち的なゆとりができますし、小さな子供のベビーカーも余裕をもって入れられてノンストレスです」とか奥様はにっこり微笑みます。

ご夫婦たっての願いだった「広いリビング」を実現したLDKが迎えてくれました。

玄関からリビングへ足を運ぶと、一気に視界が広がります。ご夫婦たっての願いだった「広いリビング」を実現したLDKが迎えてくれました。
堀池さんご夫婦が家に求めたのは、飽きのこないデザイン。補足するなら、それは日々の暮らしの中で強い主張をせずとも存在感があり、それでいて空間に溶け込むデザインです。
「シンプルにしたいという思いはありました。ただ、それは個性がないという意味ではないんです」という堀池さんの言葉どおり、取ってつけたような奇抜さではない、その人らしさに紐づいた個性がじんわりと伝わってくる空間づくりがなされています。

象徴的なのは、リビングの天井。シンプルな見た目を損なうわけではないのに、頭上一面に渡してある杉材の木目がアクセントになっています。

象徴的なのは、リビングの天井。シンプルな見た目を損なうわけではないのに、頭上一面に渡してある杉材の木目がアクセントになっています。

賢太さんは「天井の木の質感を損なわないよう、照明は埋め込み式を採用しています。実際、リビングに立ってみると、26畳を確保した広大なリビングが目一杯の木に包み込まれていて、堀池さんご家族の温かさも伝わってくると思います」と説明します。

外の光がたっぷりと注ぎ込むリビングは解放感抜群です。

「木の良さは使い込むほどに味わいが出てくるところ。それは僕のワードローブにも共通しているキーワードです。変化があるからこそ、飽きがこない。リビングも当初の予定よりもさらに1mくらい広げてもらっているんですよ」と堀池さんはにこやかに床を指さしました。

木の温もりを感じるリビングでは、大きめにとった窓もポイントになっています。外の光がたっぷりと注ぎ込むリビングは解放感抜群です。

このリビングがすっかり気に入ってしまい、よく外を眺めながら『良い家だなあ』って呟いてしまうんです。

「このリビングがすっかり気に入ってしまい、よく外を眺めながら『良い家だなあ』って呟いてしまうんです。思えば、打ち合わせの時から『そうそう、こういう家が良い』というプランがあがってきていて。僕たちの“好き”をしっかり汲み取ってもらえて感謝ばかりです」と堀池さんは目尻を下げます。

洗面所はデザインも好みですし、空間にもゆとりをもたせているので、家事も快適です。

奥様は「私のお気に入りは洗面所とキッチンですね。洗面所はデザインも好みですし、空間にもゆとりをもたせているので、家事も快適です。もう暮らし始めてから結構経つんですが、全く飽きることもなく、今でも毎日、テンションが上がっていますよ。キッチンは以前から憧れがあったサンワカンパニーのものを選びました。アイランドタイプも気になっていたんですが、最終的に空間が有効活用できそうなペニンシュラタイプに。ちょうどリビングからの死角に物も置けて、とても便利です」と声を弾ませます。

天井に取り付ける収納はなく、視界が開けていることもあり、圧迫感は皆無。
リビング、キッチン、それぞれに適切な収納スペースが確保してもらいましたし、動線についてもしっかり考えられているおかげで、日々の掃除や片付けの負担が軽減されています。

完成後のキッチンに立ち、その明るさに驚いたという奥様。天井に取り付ける収納はなく、視界が開けていることもあり、圧迫感は皆無。キッチンに立つのが以前よりも断然楽しくなったそうです。

「リビング、キッチン、それぞれに適切な収納スペースが確保してもらいましたし、動線についてもしっかり考えられているおかげで、日々の掃除や片付けの負担が軽減されています。以前のアパート暮らしのまま、子供を育てていたら、発狂していたかもしれませんね」と苦笑いする奥様。

もちろん、これまで集めてきた洋服を収めるウォークインクローゼットについても高さや幅、奥行きまで文句なしです。

「もちろん、これまで集めてきた洋服を収めるウォークインクローゼットについても高さや幅、奥行きまで文句なしです。実際に暮らしてみないとわからない細々としたことまで、賢太さんにはしっかり考えてもらっていたからこそですね。ちょっとアドバイスを求めたことに対しての提案が全て完璧で、何でこんなに僕たちのことがわかっているんだろうって、不思議に思うくらいでした」。堀池さんは目を細め、そう続けました。

変化を楽しめば
飽きはこない

飽きのこない家を理想に掲げていた堀池さんご夫妻。家が完成して1年を過ぎた今も、新鮮な気持ちは続いているそうです。

堀池邸/里山建築

「帰宅した時に、車を停め、少し離れたところから家を眺めることがあるんです。グレーの外壁に、木の窓枠が合わさったこの家の佇まいが洗練されていて、たまにそうやって全景が見たくなるんですよ。グレーだと見る角度や天気、そして時間帯で色みが変わってくるので、楽しみが尽きませんね。屋外については当初の予定よりも少し軒を出してもらったんです。その張り出し具合も気持ち良くって。室内への光の入り具合もちょうどよく、完成前に図面で見た時よりもずっと立体的で。思わず惚れ惚れしてしまいます」といって堀池さんは屋根のほうを見やりました。

室内への光の入り具合もちょうどよく、完成前に図面で見た時よりもずっと立体的で。思わず惚れ惚れしてしまいます。

ライフスタイルにも変化があらわれたという奥様。
「これまでは主に洋服関係にお金を使っていたんですが、最近では家のための物を買う機会が増えていますね。家具をはじめ、ちょっとしたオブジェだったり、植物だったり、身なりだけでなく、暮らしそのものを楽しむようになったのは、大きな変化かもしれません」と教えてくれました。

糸島市のハミングジョーで買ったというダイニングテーブルもその一つ。イギリスのアンティークのテーブルで、色と質感、大きさが気に入り、即決したそう。

最近では家のための物を買う機会が増えていますね。家具をはじめ、ちょっとしたオブジェだったり、植物だったり、身なりだけでなく、暮らしそのものを楽しむようになったのは、大きな変化かもしれません。

「大好きなテーブルとイスでくつろぐ時間が何よりも贅沢だなって改めて思うんです」という堀池さん。好きな洋服に袖を通す感覚を、今、家で味わっているかのようでした。

家は何のために。堀池さんご家族にとって、その答えは「自分らしくあるため」だと思えました。洋服というパーソナルな対象から、暮らしというファミリーへの興味の移ろいを、この家がしっかりと受け止め、支えていました。

堀池邸/里山建築
Text:Yuichiro Yamada(KIJI)
Photo:Yuki Katsumura
堀池邸
種別 新築
用途 住居
構造 木造
竣工 2022年5月
所在地 長崎県・波佐見町

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