INTERVIEW

ずっと変わらずに
好きだったものを、
家づくりの真ん中に。

川上邸

川上邸 - 株式会社里山建築

長く快適が続く
動線づくりを目指す。

青い海が、時折、きらきらと輝いて見えます。ゆっくりと進む船。ふっと視界に入ってくる白い鳥。手前に見える木々はその枝に蓄えた緑を色濃く育み、自然の、生命の躍動を感じます。
ここは佐世保市の郊外、その山間にある川上さんの自宅。ウッドデッキからの佐世保湾を望む雄大な眺めが、取材に訪れた私たちの心を穏やかにしてくれました。

ここは佐世保市の郊外、その山間にある川上さんの自宅。ウッドデッキからの佐世保湾を望む雄大な眺めが、取材に訪れた私たちの心を穏やかにしてくれました。

川上さんご家族のマイホームが完成したのは2020年。ここは川上家の本家が代々、大切に守ってきた土地で、家が建つまでは慎司さんのお父様が建てたログハウスがありました。

「2018年に結婚して、それからしばらくはアパートに住んでいたんです。ただ、子供ができた時のことを考え、すぐに家をどうしようかという話になりました。夫婦それぞれ戸建ての家で生まれ育ってきたので、家を建てたいなという意見に自然にまとまったんです」

ご夫婦がそう考えていたタイミングで、お父様からこの土地を使ったらどうかという打診があり、話はとんとん拍子に進んでいきます。

「2018年に結婚して、それからしばらくはアパートに住んでいたんです。ただ、子供ができた時のことを考え、すぐに家をどうしようかという話になりました。夫婦それぞれ戸建ての家で生まれ育ってきたので、家を建てたいなという意見に自然にまとまったんです」

それから1年くらいをかけて地元の住宅メーカーを巡ってみたという慎司さん。ただ、「マニュアル的な営業トークがちょっと・・・全然ピンとこなくって」と苦笑い。こうしてメーカー探しが難航する中、共通の知人が多く、ご夫婦が大好きで出掛けていた音楽のライブ会場で何度も顔を合わせていた賢太さんの存在を思い出したそう。「実際にやりとりをするなかで、共通の趣味があることもあって、僕たち夫婦の思い、感覚をすんなりと汲み取ってくれて。それが嬉しくて、正式にお願いすることにしたんです」と慎司さんは振り返ります。

家づくりは妻の仁美さんが中心になって進めていくことに。
洗濯機があるランドリールームにはそのまま室内干しができる器具を配置。そのランドリールームは広めにスペースをとり、家族全員分のウォークインクローゼットを備えます。

家づくりは妻の仁美さんが中心になって進めていくことに。慎司さんが「この高台の景色を生かす家にしてほしいというのは夫婦共通の思いでした。それ以外については、家にいる時間が長くなる妻に決めてもらったほうが良いなと思って。もちろん僕の希望も取り入れてはもらっていますが、間取りなどは妻が快適になるよう、やりとりしてもらいました」と言うと、仁美さんは「夫は一度、のめり込むとものすごく集中するんですが、その反面、普段はすごくずぼらで。それを大前提にした間取りにしておかないと、家がすぐに散らかってしまうことが分かっていましたから、特に動線は十二分に、徹底的に考えました」と明るく返します。

家づくりにおいて意識したのが、家事の流れ。洗濯については、洗う、干す、運ぶ、収納するという動きがスムーズに進められるような空間を目指しました。洗濯機があるランドリールームにはそのまま室内干しができる器具を配置。そのランドリールームは広めにスペースをとり、家族全員分のウォークインクローゼットを備えます。結果、洗濯物の取り入れ、運び出し、収納までが一箇所に集中。「洗濯における一連の作業が同じ場所で終えられるのは、本当に清々しいですね。生活が以前に比べてぐっと楽になりました」と仁美さんは声を弾ませます。

 

キッチンも同じように、料理に関する一連の流れを踏まえた上での動線が確保されています。 キッチンからダイニングテーブルへは一直線。料理の配膳までもがスマートです。

キッチンも同じように、料理に関する一連の流れを踏まえた上での動線が確保されています。釣りが趣味という慎司さん。釣りから帰ってきたら勝手口を経由してそのままキッチンへ。そのキッチンは料理も趣味だという慎司さんが仁美さんと一緒に並んで立ってもゆとりがあるように空間を広めに確保してあります。そのキッチンからダイニングテーブルへは一直線。料理の配膳までもがスマートです。

リビングは外光をたっぷりと取り入れられる開放的な造り。

リビングは外光をたっぷりと取り入れられる開放的な造り。1階に寝室、将来的な子供部屋以外の生活空間を集約してあるものの、一つひとつの空間にゆとりを持たせてあるため、圧迫感は感じません。

そんな1階部分において特徴的なのが、あえて浴室と切り離した洗面台。「一般的には同じ空間に浴室と洗面台があることが多いと思うんですが、よくよく考えると同じじゃなくても良いのかなと思って。結果的に全く不便もないですよ」という慎司さん。仁美さんも「洗面台ではないんですが、ちょっとしたものが洗える水場が浴室にあるので、本当にそれで十分です。洗面台は2階に上がる階段の手前に配置しました。LDKから2階までの動線上にあって、さらに勝手口、玄関からも経由しやすい場所なので、本当に使い勝手が良いですよ」と続けます。

一階部分において特徴的なのが、あえて浴室と切り離した洗面台。
LDKから2階へ向かう階段にはもともと仕切りがなかったのですが、完成後、川上さんご夫婦の要望でドアを取り付けることに。

LDKから2階へ向かう階段にはもともと仕切りがなかったのですが、完成後、川上さんご夫婦の要望でドアを取り付けることに。「1階の音が気にならなくなりましたし、生活にメリハリがついて良かったですね。こういう暮らしてみて分かる必要な追加工事についても、里山さんの場合、とても顔が見える建築会社なので、お願いしやすくて助かりました」という慎司さん。

 

先回りの気配り、
アイデアを詰め込む。

川上さんご家族が新しい家で生活を始めておよそ3年。快適な日々の生活に、趣味もますます楽しめるようになったそう。この住まいでの暮らしもすっかり家族のスタイルに馴染んでいるようです。

玄関につくってもらったシューズクローゼットも秘密基地みたいで気に入っています賢太さんのアドバイスで2階の屋根上に柵だけ作ったんですよ。これが本当に布団を干す際に便利。

「玄関につくってもらったシューズクローゼットも秘密基地みたいで気に入っていますし、あとはなんといっても2階ですね。うちの場合、洗濯物を室内干しすることもあって、作っても以外と使わないだろうなという話になり、ベランダは設けなかったんです。ただ、賢太さんのアドバイスで2階の屋根上に柵だけ作ったんですよ。これが本当に布団を干す際に便利で。わざわざ1階に布団を抱えて登り降りする苦労を考えると、何よりのファインプレーです。あとはドアですかね。天井まで高さをとった大きなドアに憧れがあって、ぜひ実現したいなと思っていたら、すでに図面に取り入れてあって驚いたんです」

ウッドデッキの下に物が収納できるようにしてあるんです。アウトドア関係の道具、さらに雨戸もここに収納しています。

「ウッドデッキもそう。デッキ下に物が収納できるようにしてあるんです。アウトドア関係の道具、さらに雨戸もここに収納しています。雨戸って、普段は全く使わないじゃないですか。その雨戸の収納スペースのために外観の格好良さを損なうのは嫌だなと思っていたら、デッキ下に収納できるようにしましょうか、と賢太さんからアドバイスをいただいて。しかもその雨戸もBBQの際に大きなテーブルになるよう、工夫が凝らしてあったのには本当に感動しましたね」

 

川上邸 - 株式会社里山建築 ウッドデッキに立って海を見ると、その日の波の状態が確認できるのだと教えてくれた慎司さん。

そんなウッドデッキに立って海を見ると、その日の波の状態が確認できるのだと教えてくれた慎司さん。「釣りをする人間にとって、天気がわかるのはとても嬉しいですね」と顔を綻ばせます。雄大な自然とつながっていることを実感できるこのウッドデッキ。リビングからフラットに続いているため、友人が遊びに来た時には、第二のリビングとしても大活躍します。もちろん、家族団欒のひと時においても、リビング以外のもう一つの選択肢に。

将来を見据えて、電気自動車にも対応できるように、ガレージに電源も確保してもらいました。
階段の手すり、ドアの取手、そういった細々としたものまで、使い勝手とデザインを両立させたものを取り入れてくれた。

「あとは、ガレージの照明もつけておいてもらって本当に良かったなと改めて思います。友人と集まってBBQをする時、雨が降っても十分、ガレージのところで楽しめるんです。あとは将来を見据えて、電気自動車にも対応できるように、ガレージに電源も確保してもらいました。ほかにも階段の手すり、ドアの取手、そういった細々としたものまで、使い勝手とデザインを両立させたものを取り入れてくれていて。先回りの気配り、アイデアが満載でした」という仁美さん。慎司さんも「家づくりを振り返ってみると、賢太さんのフィルターを通して僕たちが好きそうなものをあらかじめ絞り込んでもらっていて、好きなものの中から好きなものが選べるのが贅沢で、楽しい決定の連続でした」と続けました。

川上邸 - 株式会社里山建築

賢太さんも「この家での暮らしはそれこそ何十年も続いていくもの。だからこそ、飽きずに住んでほしいという気持ちはあります。その思いが大前提で、全ての提案の根っこです。経年変化についても、時を経ることによって魅力が増していかないと、慣れによって飽きがきてしまいますから。外壁に使っている木材のレッドシダーは、そういう意味でとても良い仕事をしてくれるはずです」と笑顔を見せます。

「流行り廃り関係なく、この家は10年後も、20年後も、ずっとカッコいい。今の時点でそれが簡単に予想できるのは、僕たち夫婦がずっと変わらずに好きでいたものを、しっかり共有できたからでしょうね」。そう言って家族を見る慎司さんの目はどこまでも優しさに溢れています。

敷地の一角にはお父様が大切に育ててきた果樹園が残されています。畑仕事のために、定期的にこの家を訪れるであろうお父様。生い茂った木々の、その枝に実る果実が、ご家族の幸せの形そのもののように思えました。

敷地の一角にはお父様が大切に育ててきた果樹園が残されています。

Text:Yuichiro Yamada(KIJI)
Photo:Yuki Katsumura
川上邸
種別 新築
用途 住居
構造 木造
竣工 2020年9月
所在地 長崎県佐世保市

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