INTERVIEW

いかにも洋服屋らしい洋­服屋にはした­くない。
アパレルショップに居心地の良さを求めた。

toalu

賢太さんは「兼松さんから雰囲気と­してカフェが好きというキーワードをもらって。アパレルショップなんですが、そういうカフェのように寛げる空気感を出すというニュアンスで捉え、その結果、天井も工夫して限界まで上げたんです。天井にはラワン材のベニアを使っています。無機質なものだと圧迫感が出てしまうだろうという発想です」と教えてくれました。

兼松さんには“いかにも洋服屋らしい洋­服屋にはした­くない”という考えがあり、そのための方法を賢太さんと試行錯誤。「ぼく自身、服屋ですが、流­行には疎いんです。流行りの色も知りませんし。取り扱っている洋服はどれもベ­ーシックなものばかり。一度購入いただいたら、長く着てほしいという思いがあります。頻繁には買わな­い店。それで良いと思っています。だからこそ、一度の来店を大切にしたいんです」。兼松さんはそう言葉に力を込めました。
 

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賢太さんは「外に出てお隣の窓と比べてみると随分と大きくなったことが分かりますよ。窓を一度完全にぶち抜いて、それから今の大きな窓をはめ込みました。大仕事でしたが、がんばった分だけ、仕上がりに満足しています」と満面の笑みを見せました。

また、店内にテーブルとイスが置かれているのも「toalu」ならではの特徴です。「どんなに口でゆっくり過ごしていってくださいねというよりも、こうしてテーブルとイスがあることのほうが何よりのメッセージになると思ったんです」と兼松さんは教えてくれました。
 

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ハンガーオブジェは兼松さんが信頼する木工アーティスト・nisimokko(ニシモッコ)さんによるもの。そして、ハンガーラックは組­み木で作った里山建築オリ­ジナルの作品で、空間の中で過剰に主張せず、それでいてしなやかな個性があり、重要なアクセントになりました。兼松さんは「ハンガーラックもそうですが、開業前から使いたいなと思っていた東京のデザイン事務所が手掛ける照明、彫金アーティストによるワイヤーシェードも、この空間に良い雰囲気で溶け込んでいて、この店らしさが表現できていると思っています」と言い、満足の表情を浮かべました。
 

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そして、「toalu」らしさを最も感じられるのがフィッティングルームです。「自分自身、試着室が狭いのがとても苦手で。来店していただいたお客様にも気持ちよく、快適に試着してもらいたかったので、これだけ贅沢な広さを確保してもらいました」。兼松さんがドアを開くと、上品なオリーブグリーンの絨毯が足元に敷かれた広々とした空間が広がりました。その広さは大人がごろりと横になれるくらい。子連れで来店されたお客様がキッズルームとして利用することもあるというように、兼松さんが掲げる “ゆっくりと寛げるアパレルショップ”にしたいという思いが、この一室に凝縮しているように思えました。

洋服の販売にとどまらず、食、写­真、ライブ、ドローイングというように、さまざまなイベントも積極的に開催中。白と木目を基調とした空間は、兼松さんの好きを柔軟に受け止める白いキャンパスのようでした。

Text:Yuichiro Yamada(KIJI)
Photo:Yuki Katsumura
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