INTERVIEW

ロの字型が叶えた
家中、どこに居ても
中庭を感じられる住まい。

立野邸

ロの字型が叶えた 家中、どこに居ても 中庭を感じられる住まい。

「将来的には玄関から見て右側のスペースは妻がフラワーアレンジの教室を開く際に活用する予定なんです」
哲也さんは2年前に完成した家の玄関前に立ち、そう教えてくれました。
住まいがあるのは佐賀県嬉野市。146坪というゆとりのある広さの土地に立野さんご夫婦の念願だった一軒家が佇みます。外観は杉材による下見板張り。経年による変化が楽しみな家は、文字通り、立野さんご家族とともに人生を歩んでいくことになります。

 

T邸
T邸

「子供が生まれるタイミングで、戸建てを検討したんです。妻が元々、達成さんの奥さんと面識があり、それで実際に家を建てているところを見学させてもらいました。そこでまずデザインに惹かれたんです。家を建てるのはきっと一生に一度のこと。だから人柄重視。感覚的に近い人にお願いしたいと思い、里山さん以外の選択肢はありませんでした。知った間柄ですから、希望を伝えやすいですしね」
 

T邸

小さなお子様とほぼ同い年のタイミングで竣工となった立野さんの家。玄関に入ると、思わず部屋だと形容したくなるような、広々としたスペースが目の前に現れます。この玄関スペースの中央に設けられた窓ガラス越しに見えるのが、立野さんご夫婦念願の中庭です。外から入って来て、すぐまた外の景色が目に飛び込んでくる。この視点の移り変わりに、非日常を感じました。
「形でいうと、私たちの家はロの字型です。中央に中庭があって、その庭をぐるりと囲むように居住スペースが設けてあります。家中、どこに居ても中庭を感じられるようにしたい。そんな希望を打ち合わせの中で賢太さんに伝えました」
 

佐賀県嬉野市T邸
佐賀県嬉野市T邸

中庭を取り入れたいという思いには、緑に囲まれた家にしたいというご夫婦の願いも込められていました。中庭は、外のみならず、内側からも緑を感じられる効果があります。そして、この中庭の木々は、ブルーベリー、紅葉、山法師、クヌギというように、四季の移ろいがあるものをチョイス。また、家の中心にあることを最大限に生かし、四方から見え方が異なるよう、木々を配しました。

賢太さんは「元々、ご夫婦はオリーブの木などで考えられていましたが、それを踏まえた上で、家のロの字型の造り、広い玄関スペース、そして中庭自体にも面積が充てられましたので、動きがある木々を植えたほうが良いと考えたんです」と笑顔を見せます。

玄関スペースを左へ進むとシューズクロークがあり、奥が住居へとつながっています。一方、もう一つの正面に設けられた扉を開けると中庭へ。そのまま真っ直ぐ飛び石を渡っていくと、客間に当てられた和室へと移動できます。住居スペースを通らず、直接、和室へと行けるため、急な来客時にも安心です。
 

佐賀県嬉野市T邸
佐賀県嬉野市T邸

哲也さんは「ここの地元には“三夜まち”という、いわゆる寄り合いがあり、自宅にご近所さんを招いて飲むという慣習があるんです。そんな慣習があるため、寄り合いに限らず、友人を誘って自宅で飲むことも多く、それなら、ちょっとゆとりを持って和室を造っておこうということになりました。後からだと簡単には広げられませんからね。最初にある程度、余裕が生まれるように六畳二間の空間づくりをお願いしました」と教えてくれました。

LDKにおいても、間取りづくりの起点になったのは中庭です。リビングからはもちろん、キッチンからも中庭が眺められるように配慮。2階へ上がる階段の途中からも中庭の緑が目を楽しませてくれます。
 

佐賀県嬉野市T邸 リビング

「リビングで過ごす時間がとても贅沢ですね。自分たちだけのグリーンですから、これから中庭の木々が育っていく過程も大変楽しみです。またリビングでは階段の位置も私たち夫婦の希望を叶えていただきました。どうしても帰ってきた時に家族が顔を合わせたかったので、リビング内に階段を据えたいと思っていたんです。とても満足していますよ」

キッチンには妻・佳子さんの夢が散りばめてありました。すっきりした印象に大きく貢献しているのがたっぷり1畳分を確保したパントリーです。佳子さんは「食材をゆとりをもって保管できるようになりましたね。片付けも格段に楽です。夫婦揃って食べるのが好きなので、本当に大活躍です」と声を弾ませます。


キッチンにおいて基本になっているのが、「見せるものは見せる、隠すものは隠す」という佳子さんのルールです。レンジ、炊飯ジャーなどを収納できる作り付けの棚を始め、「見せる」「隠す」を効率よく行えるような工夫が随所に取り入れてあります。

 

佐賀県嬉野市T邸 キッチン

「佳子さんは身長がそれほど高いほうではないので、例えば高いところに収納スペースを設けてしまうと、そのうち煩わしくなって利用しなくなるのではないかと思いました。それでキッチン上の吊り戸棚はなくして、開放感を出しました。逆に見せる棚はやや高い場所にありますが、ここには扉もありませんし、サッと手に取れます。メリハリについては何度もご夫婦と打ち合わせしましたよ」と言う賢太さん。
 

佐賀県嬉野市T邸 キッチン
佐賀県嬉野市T邸 キッチンの床にはテラコッタカラーをチョイス

打ち合わせでは、家のデザインについても時間をかけて意見交換しました。例えば、システムキッチンには木のぬくもりを感じるデザインを選び、その木のイメージに合わせて、キッチンの床にはテラコッタカラーをチョイス。
 

脱衣所においては鏡を可能な限り大きくし、台脱衣所も四畳と十分なゆとりを確保
オーソドックスなアルミ素材ではなく、エッグシェルカラーのドアに

また、勝手口についても、オーソドックスなアルミ素材ではなく、エッグシェルカラーのドアにしました。脱衣所においては鏡を可能な限り大きくし、脱衣所も四畳と十分なゆとりを確保しました。

「エントランスから中庭、そして住居への流れが本当にスムーズで、おしゃれなだけではなく動線がしっかり配慮してあり、以前の住まいに比べて暮らしやすさが格段に向上しました。中庭の成長とともに、この家を楽しみたいですね」
 

佐賀県嬉野市T邸
Text:Yuichiro Yamada(KIJI)
Photo:Yuki Katsumura

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