INTERVIEW
卓を囲む日本古来のコミュニケーションの形を
新しい事務所と打ち合わせルームで表現。
aiyu|アイユー


こうしてテーブル、収納棚が完成。事務所の照明に取り入れている木製のシェード、道路側の窓に設けた観葉植物用の木製プランターといった空間の随所でディテールを詰めていきました。倉庫側は大きな窓を取り入れ、必要に応じて黒板ボードのよって仕切れるように配慮します。
「元々の倉庫の風合いも生かしたいと考え、天井の鉄骨はあえてそのまま、むき出しの状態で活用しようと思っていました。カラーだけ、空間のトーンに合わせて上品な印象にするため、グレーでペイントしてもらっています」という勇司さん。



事務所の中だけではありません。外装においても、里山建築らしい工夫がなされていました。「たまにマルシェが開催されているという話を聞いていたので、それならその際にも活用できるような何かを取り入れたいと思ったのです」という賢太さん。

こうしてできたのが、外の壁に設けられた窓の部分を四角に囲むフレームでした。勇司さんは「壁そのもののアクセントにもなりますし、マルシェの際には商品のディスプレイ堋として活用できます」と言葉を弾ませました。


そして、もう一つ手掛けたのが打ち合わせルームです。この一室もまた、目を引くのが中央のテーブルです。このテーブルの天板は勇司さんの祖父母の家にあった床の間に使われていたケヤキの板を利用しています。「元々、何もなかった敷地内の一角を壁で囲い、部屋にしました。ここでは商品開発、ユニバーサルデザインの商品の使用感をテストするための空間として活用しています」と言う勇司さん。入口側には資料をすっきりと収納できる棚を製作しました。賢太さんは「実は、この空間は長方形ではなく、入口側の間口がほんの少しだけ広い台形なんです。その形状を踏まえて空間づくりにも取り組んでいます」と微笑みます。


Photo:Yuki Katsumura