INTERVIEW

卓を囲む日本古来のコミュニケーションの形を
新しい事務所と打ち合わせルームで表現。

aiyu|アイユー

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トビラを開けると、目に飛び込んできたのが色とりどりの器たち。そしていきいきとした生活のイメージが広がる空間でした。ここは「aiyu」の直営店です。「aiyu」があるのは、長崎県波佐見町皿山。そのルーツは、明治30年に開かれた窯元「小吉製陶所」です。

「曽祖父の初代・小柳吉蔵が立ち上げました。昭和57年で閉窯した後、先代である父・吉喜がその2年後に陶磁器卸小売業としてこの会社を設立したんですよ」
 

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そう教えてくれたのが、4代目にあたる小柳勇司さん。現在、「aiyu」では波佐見焼をセレクトして紹介するほか、消費者である使い手に寄り添ったオリジナル商品開発、デザイン開発を手掛けています。直営店はアンテナショップでもあり、「aiyu」が表現したい世界観が俯瞰できる空間です。

そんな「aiyu」の事務所、打ち合わせルームが今回の主役。「賢太さんと出会ったのは、波佐見町の青年部でした。ぼくが会社を引き継ぐことになってから、ずっとどうにかしたいと思っていたのが事務所だったんです。里山建築さんの仕事は以前から素敵だなと思っていましたから、改めて相談してみたんです」と勇司さんは振り返ります。
 

aiyu 小柳勇司さん
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以前の事務所は、現在も製品の仕分けや配送準備、検品といった作業のために活用されている大きな倉庫の一角でした。「作業と事務仕事を同じ空間で進めていたのですが、特に事務仕事においてなかなか集中しづらい環境だったんです。また、スペースが区分されていないことで、物が雑然としているところも気になっていました。とにかくすっきりさせて、今まで以上に打ち込める環境の整備をようにしたかったんです」と言う勇司さん。

当初、倉庫の2Fを事務所にするという案もありましたが、事務所としては空間が広すぎる、太陽からの熱が直接伝わってくることで夏場は温度が上がりすぎるという二点が懸念され、最終的に1F部分を利用することになりました。
 

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こうして完成した事務所は、白、黒、グレーといったモノトーンを基調にした落ち着いた雰囲気。賢太さんは「事務仕事、企画、打ち合わせといった様々な作業に取り組む際、デスクを囲むように集まり、パソコンワークができるようにしたいという要望がありました。そのため、センターにテーブルを配置することを決め、そこを起点にアイデアを膨らませていったんです」と空間デザインの流れを説明します。

次に検討したのが収納スペースの配置場所でした。賢太さんが注目したのが、直営店側の壁。「ちょうどショップの様子を窺うための窓があり、これを上手く取り入れた収納が実現できないか検討しました」。

 

aiyu
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収納棚を作り始める前に、壁そのものをどうするか、勇司さんと賢太さんで打ち合わせを重ねました。最終的に、KMEW社が取り扱う内装ボード「SOLIDO」を採用。これは挽いた後のコーヒー豆にセメントなどを織り交ぜて作られた環境にも配慮した板材です。勇司さんは「見た目の良さに加え、一枚として同じ風合いがないというところにも惹かれました」と笑顔を見せます。

この壁一面を利用したディスプレイ棚には里山建築の職人技が注がれています。窓の高さに合わせて棚のフレームを組み上げ、そこに特注したスチール製の棚板を取り付ける造りになっています。ただ、この棚板が2mmほどと極端に薄く、棚板にするのに試行錯誤したのだと言う賢太さん。

「あくまで棚なので、できるだけ主張はさせたくなかったんです。そのため、できる限り薄い棚板にしようと決めました。あとはフレーム幅の間隔と形状、棚板の強度をどのように出していくかという点を徹底的に考え抜き、ようやく形にできたんです」と振り返ります。

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